World > Latin America > Caribe > Dominica Rep. | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
MILLY, JOCELYN Y LOS VECINOS |
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Title | ||||||||||||||||
AHORE ES.....! |
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Review |
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エグイ日本語タイトルだなあ。発売当時「ランバダ」が流行っていたのにあやかってシャレで付けたんだろうか、逆効果だったと思うけど。 “お隣りさん”を意味するロス・ベシーノスは、ヴォーカルのミリーとジョセリーン、トランペットのラファエール、キーボードのマルティンのケサーダー4兄弟姉妹に、当時ミリーの夫だったラファエール・バスケースをプロデューサーとするファミリー・バンド。 ケサーダー一家がドミニカ共和国からニューヨークへ移住してきたのは、60年代、ミリー12歳とジョセリーン9歳のときだったという。かれらが“ミリーとロス・ベシーノス”としてレコード・デビューしたのが1975年。80年ごろに妹のジョセリーンが新加入して、ここにミリーとジョセリーンのあでやかなヴォーカルをフロントに立てたベシーノス・サウンドが完成する。 70年代には一世を風靡したサルサが80年代になると失速してきて、かわってノシてきたのがドミニカ共和国生まれのメレンゲ。ストイックに進化してきたサルサにたいして、従来のシンプルで踊りやすいビートに加えて、あらゆる音楽要素を呑み込んじゃう雑食性が功を奏して、ニューヨークのラテン・コミュニティにメレンゲ・ブームがまき起こった。こうした流れのなかで、ミリーとジョセリーンという好対照の個性をもつ2輪の花を擁したかれらは一躍スターダムにのし上がった。 89年にリリースされた本盤は、ニューヨークを中心に活動してきたかれらが、はじめてドミニカでレコーディングした意欲作である。メンバーにもドミニカ本国のミュージシャンが名をつらね、従来のモダン路線に加えて、メレンゲの原点に立ち返った土の香りがする伝統的な要素もとり入れられているのだそうだ。打ちこみとはいえ、オーソドックスなメレンゲの主要楽器であったアコーディオンぽい音色が散りばめられているあたりに、その片鱗がうかがえる。 しかし、なんといってもすばらしいのは、いまや“メレンゲの女王”といわれるミリーのヴォーカル。タメの効いたのびやかで艶やかな声音を、抜群の瞬発力でもって変幻自在に操りながらグイグイと煽っていく貫禄の歌唱は、軽薄に思われがちなメレンゲにあって、圧倒的な存在感を示す。それにくらべて、妹のジョセリーンにはラス・チカス・デル・カンにも通じるおキャンさがあって、このコントラストがベシーノスの最大の魅力となっている。 楽曲としては、ウィルフリードのように奇をてらったところはなく、80年代に典型的なメレンゲ・ナンバーが並ぶなかで、50年代に活躍したルイス・カラフの作品をとりあげた'LA TEMBLADERA'が気になった。ひたすら加速化していった当時のメレンゲにあって、ハイチのコンパを思わせる独特のタメをもったメレンゲで、時折り顔をのぞかせる哀愁がたまらない。アコーディオン風の打ちこみがもっとも効果的に使われているナンバーだ。 本盤につづいて国内リリースされたのが『7+1=ベシーノス』(MUSICAL PRODUCTIONS MP-6038 CD(US) / Pヴァイン UPCD-35(JP))。メレンゲが7曲、バチャータが1曲だからこのタイトルなのだそうだ。この安易さが、いかにもメレンゲらしい。一部で本物のアコーディオンが使われていたり、英語の歌詞(ミリーがラップに挑戦!)があったりもするが、基本的には前作をよりダンサブルに強化した路線とみていい。それから前作まではミリーの圧倒的な存在感に圧され気味だったジョセリーンの成長も感じられる。 正直いって、メレンゲは基本的に踊るための音楽だからひとり部屋にこもって聴き入るのには全然むいていない。瞬間のインパクトはすごくても、長いスパンで愛聴していくには底が浅いといわざるをえない。ほかの音楽もそうだが、メレンゲにおいてはなおさらこと、ライヴこそがもっとも本領が発揮できる場所である。『7+1=ベシーノス』が発売されたころ、日本初の本格派メレンゲ・コンサートとしてかれらの来日公演が青山CAYで行われた。かくいうわたしも会場へ足を運んだひとりだが、ミリーとジョセリーンを中心にショーアップされたステージは、最初から最後まで息つく暇もないほどの熱狂に彩られ、CDで聴くより10倍はすばらしかった。 |
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(8.24.02) |
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